足立区医師会 産業医研修会 その②

つづきです。

「高齢労働社会における産業医活動のあり方」 神代雅晴先生
3管理の健康管理、作業管理、作業環境管理のうちの作業管理と労働適応能力について話された。

健康は労働から生まれ、満足は健康から生まれる。(Sir William Petty)
2013年に何らかの自覚症状を訴えた65歳以上の割合は46.6%(入院者を除く)
健康上の問題で、日常生活動作、外出、仕事、家事、学業、運動等に影響のある者25.8%

健康寿命(要介護ではない)の推移;女性74.21(平均寿命88.61歳)、男性71.19(平均寿命80.21歳)

労働の場におけるエイジマネジメント;働く人が暦年齢を意識することなく生涯にわたって健康で活力にあふれた状態でより生産的に働くことが出来るような産業保健活動の仕組みを、それぞれの年代に応じて創出する取り組みのこと。

高齢者が持つ健康異常は高血圧、脂質異常症、糖尿病。
男性で1番悪化している年代は20-30代。
男性は20歳代、遅くても30歳代から良い生活習慣を身に付けることが肝要。

女性は40歳代を迎える準備や閉経期以降の保健指導に力点を置くことが大切。

高齢社会日本は、働かなければならない高齢者を創る時代を迎えた。
日本の医療費は、2012年オランダの歳出と同等レベルとなっており、2025年にはオーストラリアの歳出と同等になる予測である。

超高齢社会を迎えた日本の課題
1、暦年齢による定年制度の廃止
2、第一次予防に重点を置いた健康管理;健康関連因子(生活習慣病等の防止)、作業関連因子(職場改善等)

その戦略は、生産的高齢者の輩出、健康寿命の延伸
運動習慣が運動機能・体力の低下を抑制する
・運動習慣のある人はない人に比べて肺活量1秒率が明らかに高かった
・抑うつ症状が少なかった
・ストレスに強くなる


50歳を過ぎると片足で立ったまま靴下を履くことが出来ないと、
転倒・転落事故につながる
→バランス感覚、関節・筋力の衰え
→股関節のストレッチ・腸腰筋を鍛える
→しこ踏み体操

高齢労働を意識した職場改善のキーポイント;作業姿勢、重量物の取り扱い、視環境

仕事中座りっぱなしは危険;腰痛編
立位より座位の方が腰への負担は増大する。
背もたれや机自体にもたれかかると負担は軽くなる。

労働適応能力の評価
→与えられた職務と職務遂行能力とのミスマッチを防ぐ
→働き方が変わる
→労働と健康の調和
→労働寿命の延伸

労働適応能力は、ストレスの増大、抑うつ反応、職務満足感の低下、慢性疲労症状によって低下する。

労働意欲が高いから健康を創り上げるのであって、
健康だから労働意欲が高まるのではないことが示唆された

→身体機能、社会的対処能力、精神的許容能力と回復力
→労働寿命の延伸が健康寿命を延伸させる

若い時からの健診等での生活習慣病予防の大切さや、運動習慣の大切さがわかりやすく説明されました。
産業医活動のみならず、日常診療のときにも頭の片隅において取り組みたい内容がたくさんありました

足立区医師会 産業医研修会 その①

6月10日に上記研修会が開催されました。
とても勉強になりました

「ストレスチェック制度の導入を振り返る~諸活動と今後の展望~」岩崎明夫先生
当初の課題としては、
国内3万人を超えていた自殺者数、
100万人時代となっている気分障害患者数、
精神行動の障害の労働災害件数が右肩上がり傾向と高止まりが継続していることであった。

職場でのストレス要因に職場外のストレス要因、個人要因、緩衝要因が合わさってストレス反応を起こし、ストレス関連疾患を発症すると考えられる。
緩衝要因には上司や同僚の支援、家族友人の支援等があり、気づく、声をかけるなどのサポートネットワーク、積極的傾聴、業務等の相談などの早期対応といった緩衝要因の強化が大切である。
基本に立ち返り、4つのケア(セルフケア、ラインケア、スタッフによるケア、外部機関によるケア)を事業場に合わせて構築していくことが大切。

過重労働対策とストレスチェック
面接指導をどう進めるか
・面接指導を希望した人には理由がある
・面接指導では疾病性や事例性(仕事への影響、上司に相談していますか?)への注目は必要
・セルフケアとしての睡眠の指導は必須;労働時間は睡眠時間で調整される。
・面接指導では出口が大切である;症状が出たら心療内科等へ受診するよう提案しておく等
・過重労働や職場の対人関係等にも着目する

労働者の理解は実施率に反映する
制度の信頼性は職場への信頼性である

個人情報を適切に取り扱いつつ、事業者は安全配慮をすべき時代が到来しつつある
欧州やカナダではリスクアセスメントとしてストレスを職場のハザードとして評価している 個人は評価せず、集団分析的な職場自体を評価する
ポジティブメンタルヘルスとしてのワークエンゲージメント(熱意、没頭、活力)などが入っていない;これからの課題
新・職業性ストレス簡易調査票80項目版では、ストレスとエンゲージメントがわかる

ストレスチェックの意味を含め、今後の課題を考えることのできる内容でした。
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