第19回 日本在宅医学会大会②

2日目は、
特別講演「認知症と在宅医療」 鳥羽研二先生
家族への介入によって家族が笑顔になることで患者さんも笑顔になること。
多剤内服;6つ以上が40%、10以上が10%あること。
腹臥位療法や車椅子で前屈すると、便秘が改善されるケース。
トイレで排尿を行うことで、2週間で意欲が改善し、ADLもよくなるケース。

ランチョンセミナー「高齢の不眠患者に対する基本的な対応と薬物療法のポイント」谷口充孝先生
慢性不眠には、まず認知行動療法を行い、その上で改善なければ内服処方する。
ホメオスターシスやサーカディアンリズム、過覚醒について。
一時的に日中の眠気はあるが、起床時間を前進させ、就寝時間を遅らせること。
不安や緊張を減らすこと。
半減期が短い薬のほうが、減量時に反張性不眠(内服前より眠れなくなる)がある。

シンポジウム「無縁社会の人生の終い方」
孤独死が増えているような印象があるが、単身世帯が増えており、割合は同程度。
ごみ屋敷問題では、財産権の問題から行政が強制的に処分できない。
道路法、消防法、空き巣対策特別措置法などの範囲に入らない。

家族とは深い感情で結ばれた第一次的な福祉追求の集団。
食寝分離から就寝分離、個室化。
高齢期の居住の安定のための3要素は、健康、家族、経済。
日本13.5%が空き家;地域を耕すことの可能性。
地域慈善事業でとも暮らし。

各方面からの無縁社会に対しての発言がありました。

地域が異なれば求められるものは異なりますが、在宅という枠内、地域という枠内では
似通った問題も多数あることを再認識した2日間でした。

第19回 日本在宅医学会大会①

6月17日、18日に名古屋で開催された、上記学会に参加しました

土曜のランチョンセミナーで、
「新・在宅医療における実践的ICT活用法」について、前田浩利先生のお話では、
ICTを導入したことにより、初めて会う患者さんの訪問診療や緊急往診への負担感が軽減され、
資材の持参忘れもなくなり、
情報共有が非常によくなったこと、

また、そのために残業が予想外に減ったことが報告されました。

他施設との情報共有という点では、学ぶべきことも多く興味深い内容でした。

シンポジウム「在宅医療の諸相と栄養管理~メタボからフレイル、そして看取り期へ~」では、
フレイルを身体的、心理的・認知的、社会的の歯車としてとらえ、
気づきと自分ごと化する大切さが話されました。

噛む力が低下し、噛めなくなり、やわらかい食物を食べることが、更に嚙む力を低下させてしまうこと。
運動と栄養と社会参加の重要性。
咬合力低下した方は70%に低栄養状態を認めた。

2週間の寝たきりで7年分の筋肉を失うこと。

特別講演「超少子高齢社会に向けて私たちは何をすべきか-地方創生と地域包括ケア-」
内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局 唐澤剛氏
では、私見としながら、

20世紀は同質性と効率化が求められたが、
21世紀は多様性と高付加価値化=ごちゃまぜ=ダイバーシティが求められている。

東京圏以外で増えている仕事は医療介護であること。
国民皆保険と地域包括ケアを守るべきこととして対応していきたいと話されました。

足立区医師会 産業医研修会 その②

つづきです。

「高齢労働社会における産業医活動のあり方」 神代雅晴先生
3管理の健康管理、作業管理、作業環境管理のうちの作業管理と労働適応能力について話された。

健康は労働から生まれ、満足は健康から生まれる。(Sir William Petty)
2013年に何らかの自覚症状を訴えた65歳以上の割合は46.6%(入院者を除く)
健康上の問題で、日常生活動作、外出、仕事、家事、学業、運動等に影響のある者25.8%

健康寿命(要介護ではない)の推移;女性74.21(平均寿命88.61歳)、男性71.19(平均寿命80.21歳)

労働の場におけるエイジマネジメント;働く人が暦年齢を意識することなく生涯にわたって健康で活力にあふれた状態でより生産的に働くことが出来るような産業保健活動の仕組みを、それぞれの年代に応じて創出する取り組みのこと。

高齢者が持つ健康異常は高血圧、脂質異常症、糖尿病。
男性で1番悪化している年代は20-30代。
男性は20歳代、遅くても30歳代から良い生活習慣を身に付けることが肝要。

女性は40歳代を迎える準備や閉経期以降の保健指導に力点を置くことが大切。

高齢社会日本は、働かなければならない高齢者を創る時代を迎えた。
日本の医療費は、2012年オランダの歳出と同等レベルとなっており、2025年にはオーストラリアの歳出と同等になる予測である。

超高齢社会を迎えた日本の課題
1、暦年齢による定年制度の廃止
2、第一次予防に重点を置いた健康管理;健康関連因子(生活習慣病等の防止)、作業関連因子(職場改善等)

その戦略は、生産的高齢者の輩出、健康寿命の延伸
運動習慣が運動機能・体力の低下を抑制する
・運動習慣のある人はない人に比べて肺活量1秒率が明らかに高かった
・抑うつ症状が少なかった
・ストレスに強くなる


50歳を過ぎると片足で立ったまま靴下を履くことが出来ないと、
転倒・転落事故につながる
→バランス感覚、関節・筋力の衰え
→股関節のストレッチ・腸腰筋を鍛える
→しこ踏み体操

高齢労働を意識した職場改善のキーポイント;作業姿勢、重量物の取り扱い、視環境

仕事中座りっぱなしは危険;腰痛編
立位より座位の方が腰への負担は増大する。
背もたれや机自体にもたれかかると負担は軽くなる。

労働適応能力の評価
→与えられた職務と職務遂行能力とのミスマッチを防ぐ
→働き方が変わる
→労働と健康の調和
→労働寿命の延伸

労働適応能力は、ストレスの増大、抑うつ反応、職務満足感の低下、慢性疲労症状によって低下する。

労働意欲が高いから健康を創り上げるのであって、
健康だから労働意欲が高まるのではないことが示唆された

→身体機能、社会的対処能力、精神的許容能力と回復力
→労働寿命の延伸が健康寿命を延伸させる

若い時からの健診等での生活習慣病予防の大切さや、運動習慣の大切さがわかりやすく説明されました。
産業医活動のみならず、日常診療のときにも頭の片隅において取り組みたい内容がたくさんありました

足立区医師会 産業医研修会 その①

6月10日に上記研修会が開催されました。
とても勉強になりました

「ストレスチェック制度の導入を振り返る~諸活動と今後の展望~」岩崎明夫先生
当初の課題としては、
国内3万人を超えていた自殺者数、
100万人時代となっている気分障害患者数、
精神行動の障害の労働災害件数が右肩上がり傾向と高止まりが継続していることであった。

職場でのストレス要因に職場外のストレス要因、個人要因、緩衝要因が合わさってストレス反応を起こし、ストレス関連疾患を発症すると考えられる。
緩衝要因には上司や同僚の支援、家族友人の支援等があり、気づく、声をかけるなどのサポートネットワーク、積極的傾聴、業務等の相談などの早期対応といった緩衝要因の強化が大切である。
基本に立ち返り、4つのケア(セルフケア、ラインケア、スタッフによるケア、外部機関によるケア)を事業場に合わせて構築していくことが大切。

過重労働対策とストレスチェック
面接指導をどう進めるか
・面接指導を希望した人には理由がある
・面接指導では疾病性や事例性(仕事への影響、上司に相談していますか?)への注目は必要
・セルフケアとしての睡眠の指導は必須;労働時間は睡眠時間で調整される。
・面接指導では出口が大切である;症状が出たら心療内科等へ受診するよう提案しておく等
・過重労働や職場の対人関係等にも着目する

労働者の理解は実施率に反映する
制度の信頼性は職場への信頼性である

個人情報を適切に取り扱いつつ、事業者は安全配慮をすべき時代が到来しつつある
欧州やカナダではリスクアセスメントとしてストレスを職場のハザードとして評価している 個人は評価せず、集団分析的な職場自体を評価する
ポジティブメンタルヘルスとしてのワークエンゲージメント(熱意、没頭、活力)などが入っていない;これからの課題
新・職業性ストレス簡易調査票80項目版では、ストレスとエンゲージメントがわかる

ストレスチェックの意味を含め、今後の課題を考えることのできる内容でした。

葛飾区医師会産業医研修会

1月28日土曜日午後に、上記研修会に参加しました

市川労働衛生コンサルタント事務所所長、市川英一先生より、
1、職場における受動喫煙防止対策について
受動喫煙の害について、また、喫煙室の基準等についてお話がありました。
続けて、
2、化学物質リスクアセスメントについて
ウレタン樹脂の硬化剤として広く使用されているモカ(MOCA)による膀胱がん発症の可能性について、化学物質のリスクアセスメントとコントロール・バンディング(評価項目をいくつかのバンドにわけ、簡単なマトリックスを用いてリスク評価を行う手法)について、安全データーシート(SDS)、ラベル表示(法律で必要)について話されました。

3、ハラスメント及びLGBT職場環境改善と予防法について
ハートセラピー代表取締役 柳原里枝子先生より、
ハラスメントによる職場の生産性低下、信用、ブランド力の低下、法的責任について
セクシュアルハラスメントとは、1人でも不快と感じればセクハラとなることもあること、
マタニティハラスメントについて、性的少数者(LGBT)について、多様性を認め合う職場;特定の価値観に偏らず、組織の柔軟性が高くなる、指導の仕方;目的は仕事の改善と部下の育成、問題にfocusではなくgoalに向けてfocusをあてる大切さについて話されました。

4、治療と就業の両立支援について
山口クリニック院長、山口いづみ先生より、
高齢者用作業指示書の特徴、高齢者に不向きな作業として、高所作業、重量物移動、長時間の中腰、上向き作業、暗視覚を要求される作業、単独作業、ピット内作業がある。
がん患者は増加しており、うち3人に1人は就労可能年齢で罹患、悪性新生物治療のため仕事を持ちながら通院している者は32.5万人いる。糖尿病患者の就業上の問題点や困難さ、アルコール乱用による社会的費用内訳として日本6兆6375億円、GDPの1.9%、アメリカ9兆1404億円、カナダ4650億円、アルコール使用障害はうつ病と並ぶ自殺の重要なリスク、自殺のリスクを60-120倍に高める。多くの国でアルコール消費量と男性自殺死亡率が正の相関を示す。国内調査では多量飲酒が男性の自殺リスクを高める、日本酒換算で毎日2.5合以上。国内調査では自殺死亡者の21%に死亡する1年前にアルコール関連問題が認められ、その80%がアルコール使用障害に該当していたが、飲酒の問題とは認識されていない。高血圧;130/100を高血圧と認識していないこともあり、日本人の死因の2,3位を占めている。30歳代からの血圧コントロールが生命予後には重要。

5、女性労働者の健康管理
東京女子医科大学 医学部 衛生学公衆衛生学第2講座准教授、小島原 典子先生より、
働く女性の母性健康管理、母性保護規定、ハラスメント、育児休業、介護休業、男女共同参画について話がありました。

長丁場の研修会でした
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