第19回 医局集談会

12月16日土曜日、午後から医局集談会でした。
総勢75人の参加だったようです。

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全11演題の発表があり、その後は記念講演「環境労働衛生学での研究・教育」でした

11演題は、地域の取り組みや、日頃の診療に基づくもの、治療における症例報告等多彩でした。

記念講演では、
研究者としての歩みに始まり、交代勤務と血圧や、交代勤務とその他の生活習慣病について話され、特に中年以降の交代勤務者の予防対策が重要との意見が述べられました。
イタイイタイ病でのカドニウムの腎臓への影響、スウェーデンと共同研究によって、尿中Cdの許容値算出などのお話をお聴きしました。

地域をみることで、個々人の健康を考えることができたり、対応策を練ることができる視点が得られることがわかりました。

そのあとは、近くのピザ屋で忘年会でした
診療所の先生方や、他院の医療相談室スタッフ、ステーション統括部、病院の師長、薬剤課の方とたくさんお話しました。
日頃の診療を振り返ったり、新たな気づきが得られる時間でした

臨床医療倫理を考える~終末期医療を中心に

11月30日に柳原病院職員全体学習会が開催されました
臨床医療倫理を考える~終末期医療を中心に 講師;鈴木利廣弁護士
鈴木利廣弁護士は患者の立場で40年以上医療問題に取り組んでおられ、2004年健和会の患者の権利宣言作成当初から関わっていただいています。

・終末期医療において医療者が対応に苦慮する局面として、具体的な医療行為、患者の意思と家族の意思
・判断基準として、生命の尊厳か生命の質;QOLか。命の長さが質よりも上回るか、患者の意向、価値観を大切にする。決めるのは患者である。生命の尊厳と自己決定権との比較→患者の承諾がなくとも救命治療義務が生じうる

終末期とはどのような概念か
法的判断基準としては、医学的適応;危険性と有効性のバランス、患者に恩恵がある=必ずマイナスのものがあるため、有効性>危険性で+となる
延命治療の不実施・中止の要件、裁判所判決から
①終末期
②治療の限界(救命困難性)
③患者の意思

身体拘束の要件;厚労省「身体拘束ゼロへの手引き」は「緊急性」「非代替性」「一時性」を要件とする
法的根拠は精神保健福祉法36条1項
精神病院でのエコノミークラス症候群による死亡;抑制によるもの

患者の意思とは
1、自己決定権一身専属的権利、代理判断になじまない、医学的看護学的情報の共有と自己決定、本人の最善、事前指示と状況判断
悲しいことも自分が知ることが大事、ひとは過ちを犯す権利がある、癌告知をしている人は末期に80%が安定した精神状態でいられる
2、積極的選択から消極的受け入れまで;推定的意思、本人ならどういう意思決定をするか
3、家族の意思との関係;家族の役割は患者の支援(患者の変わりに決めることではない)、患者の意思が不明な場合の家族の判断基準は患者の最善の利益

IC;患者の承諾、ICを保障する、Right of IC


患者(家族)と医療者の「情報の決断と共有」 木村利人氏
医師が持っている全ての情報を患者と共有して一緒に決めるということ。意見の対立というのは、実は持っている情報が異なっているからである。情報がきちっと共有できていればほとんど意見も一致してくる。
患者と医療者が危険性について話し合う。話し合い、同じ決定にむけて進む。限界もあるが、やりとりの中で、責任分担ではない、危険を回避するために行うもの。危険をできるだけ回避するために、死にそうになったときにどうしてくれるのか、具体的に説明する。
民主主義の原理と同じである。
誰かと競争するのがスポーツであり、朝のジョギングは本来の意味でのスポーツではない。競争の相手を慮ることがスポーツマンシップであり、ギリシャの民主主義は多数決ではなく全員一致が基本であった。切り捨てた少数意見をいかに多数決の中に取り入れていくか、が大切。

患者の意向を尊重した意思決定のための研修会に参加したときに感じた疑問もたずねてみた。

患者は自分の意向が尊重されることを必ずしも重要視しない
・意向は病状によって変化しうるので、自分の意向は必ずしも尊重されなくてもよい
・家族や医師が、事前意思に従うか否かを決めてもいい
・信頼する医師ならば委任してもよいと考える
・むしろACPを自分の心理的、社会的、情緒的なことを伝えておく機会として考えている


について、本当だろうかと思ったのだが、本当かはわからないが、情報共有を行う中でお互いの意見が一致してくるというのが鈴木弁護士からのお返事であった。

医療スタッフ間の意見の相違も情報の共有不足なのだろうか。

また、こうしてほしいができないとき、地域でつくっていくことも必要、というメッセージもいただいた。

柳原病院での毎日の取り組みから、
患者さんやご家族を通して、そうしたことをともに考え、
患者さん本人が、家族や医療者と自分の思いをことばにし、共有することが当たり前のこととして捉えられるような、
そういった医療活動が展開できれば、
地域的にも、病院的にも、
より患者さん側にたつことができる、
より満足のいく治療を受けることができる、
そういったかたちがつくれるのではないかと思えた。

患者の意向を尊重した意思決定のための研修会⑤

参加者の感想です。

病棟看護師 園田氏より>
<研修会に参加しての学び>

 これまで多くのお看取りを経験し、後悔が残るケースの多くは最終段階となっていることは分かっていても早期からの緩和ケアに介入することができなかったり、問題点に気付けていなかったことです。また、意思決定の確認のタイミングが分からず、曖昧かつ不足していました。
 今回の研修の大きな学びは、今までは十分なアドバンス・ケア・プランニングに取り組めていなかったことに改めて気付いたことです。アドバンス・ケア・プランニングの重要性と意思決定の確認における声掛けや対応を学び、今後は患者・家族・医療者があらかじめ話し合う時間が持てるように心掛けたい。そして、多くの患者や家族が後悔せず最期までその人らしい生を全うできるように支えていきたい

病棟看護師 H氏より>
 ロールプレイで、あとどれぐらい生きたいか、患者さんに自分自身の予後を聞いて、医師の考えている予後との距離感を話し合う中で埋めていく形をとっているという話を聞いて、そういった方法もあるんだ、と思った。
 みんなで話し合うことが大切なのだと改めて思った。

医療相談室 名田部氏より>
 人生の最終段階における医療の決定プロセスには、患者と医療チーム側(多職種)での十分な対話の繰り返しが大事であること。チーム側は絶対に一人では決めない、一度に決めようとしないなど多職種で患者にとっての最善を都度検討していくことが大事であることを学んだ。
 終末期の患者の約70%の患者は意思決定は不可能との調査報告もあり、本人と決めることが難しい場合、家族の考えが反映される決定プロセスではなく、あくまでも患者本人の推定意思を考え決定するプロセス(本人なら、このような考えをもち、こう希望をするだろうなどの考え)とならなければいけないと改めて教えてもらい、正直これまでの関わり方を考えさせられた・・。
 今後も臨床上で意思決定支援場面はたくさんあると思う。学んだことをできそうなことから実行していきたい

患者の意向を尊重した意思決定のための研修会④

               ・・・つづきです。

基本的な倫理原則
自律尊重原則;相手に干渉しない、医療のすすめ方、プロセス、
与益&無危害;利益を最大にし害を最少にする、医療の目的、目標設定、何を目標として医療を行うか、医師、患者間の二者間ではこれですすむ、
公正;病院、地域、国含め、二者間で解決できないとき(ベッド、人手、薬、資源)

ぎりぎりまで調整するために
患者や家族の思い・行動の背景を探る~表面的希望のうら
選択肢を単純な二択にしない~どのくらい豊かな選択肢を挙げられるかで意思決定の質は変わってくるはず

アドバンス・ケア・プランニング;ACP
今後の治療・療養について患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセス
終末期においては約70%の患者で意思決定が不可能
どんな介入が求められるか
・診断について話し合う
・予後と治癒が可能かについて率直に話し合う
・治療のゴールを話し合う

ACPの効用
患者の自己コントロール感が高まる
代理決定者・医師のコミュニケーションが改善
より患者の意向が尊重されたケアが実践され、患者と家族の満足度が向上し、遺族の不安や抑うつが減少する
介入研究の結果、希望の喪失や抑うつなどの害はなかった

ACPの問題点
患者・家族に害となる可能性
患者・家族にとってもつらい体験になる可能性;全ての患者に適応は難しい、英国の研究では35%が介入を承諾
時間と手間がかかる

患者は自分の意向が尊重されることを必ずしも重要視しない
・意向は病状によって変化しうるので、自分の意向は必ずしも尊重されなくてもよい
・家族や医師が、事前意思に従うか否かを決めてもいい
・信頼する医師ならば委任してもよいと考える
・むしろACPを自分の心理的、社会的、情緒的なことを伝えておく機会として考えている
・一方で医療従事者は今後の患者の治療方針を示した絶対的なものとして扱う

たくさんのことを学び、考えた1日でした 。

患者の意向を尊重した意思決定のための研修会③

                ・・・つづきです。

臨床倫理
職種を超えて、意思・ケアチームが直面する個別具体的な倫理的課題を話し合う際の共通のルール

臨床倫理の目指すところ
患者・家族と医療・ケアチームが、ともに納得できる意思決定の実現
そうした話し合いのプロセスを支援するためのツールの開発・提供

QOLを真剣に考える
・QOL本人にとっての「生活/人生の質」
究極的には客観的な測定は困難
医療者は「生き方」の専門家ではない
・そもそも何を目標として医療を行うべきか、医療者が一方的に決めることはできない

プロセスとしてのIC:イベントではなくプロセス
医療者と患者が互いに情報を共有したうえで十分に話し合い、合意へ至るプロセスを重視
共同行為としての医療・ケア
医療者側には、病気の状態と治療法についての専門的知識がある一方、患者側には自分の人生の実情についての情報、自分はどう生きたいかの判断ないし人生設計があるこれら両者からの情報をお互いに提供しあい、現時点で如何にするかを考え、合意による決定に至るプロセスが、行為が共同であるための要となる~本人・家族も説明する 医療側に自分の人生の都合、生活のことを伝える
医療側、患者側が交互にやりとりを繰り返す、最後は患者が承認する

厚労省ガイドラインの骨子
医療・ケアチームで取り組む
患者の意思確認が大事
患者の意思が明確でない場合には、「患者が十分な情報を得たうえで、患者が何を望むか、患者にとってなにが最善かを、医療・ケアチームとの間で話し合う」

医療・ケアチームと患者・家族がよく話し合ったうえで「ともに」決める、共同意思決定

                  ・・・つづきます。
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Author:柳原病院Dr 福島智恵美


足立区にある柳原病院のDr 福島智恵美 のブログです。

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